2024.05.07

アプリケーション仮想化とは?製品の比較や基本をわかりやすく解説【トゥモロー・ネット テックブログ】

アプリケーション仮想化は、クライアント仮想化技術のひとつで、アプリケーションをサーバー上で配信・管理・更新できる技術です。リモートワークに伴うセキュリティ環境構築、および生産性向上ニーズの拡大に伴い、注目されるようになりました。

本記事では、アプリケーション仮想化について詳しく解説します。実際に仮想化するとなった場合に役立つツールやソリューションも紹介するので、参考にしてください。

アプリケーション仮想化とは

アプリケーション仮想化とは、使用するOSを含めたアプリケーションをパソコン上ではなくサーバー上で保管する手法です。

従来であれば、アプリケーションはパソコン1台ごとにインストールして使う必要がありました。しかしアプリケーション仮想化では、アプリケーションはサーバー上に保管されるので、パソコン1台ごとにインストールする必要がありません。

したがって、どのパソコンからでも普段使用しているアプリケーションを利用できる状態になります。

なぜアプリケーション仮想化が必要なのか

アプリケーション仮想化が必要な理由として、「業務の効率化」と「セキュリティの向上」が挙げられます。

新入社員の入社やパソコン端末の交換等があっても、都度アプリケーションをインストールしなおす必要がなく、速やかに業務を始められるようになります。

その上、アプリケーションをサーバー側で一括管理できるため、全社員にアプリケーションのバージョンアップをしてもらうといった手間もかからず、管理の工数も減らせます。同様に、アプリケーションのインストールが必要がないため、パソコン側のOSやスペックを気にすることなく使えるのも利点です。

また、アプリケーション仮想化によってセキュリティの向上を実現している企業も多いことも挙げられます。

例えば、

・アプリケーションのアップデートをサーバー側で一括で完了できるため、バージョンや設定の統一によりセキュリティーを担保しやすい。

・ユーザーごとにアクセス制限をかけられるので、重要な情報を管理することができる。

・重要な情報はサーバー内にあり、社員がデータを持ち歩くことがないため、情報漏洩のリスクを軽減できる。

というようなメリットがあります。

近年はリモートワークやサテライトオフィス勤務などの広がりに伴い、セキュリティ対策のニーズが向上しています。それと同時にアプリケーション仮想化も注目を集めるようになり、業務効率化の目的と併せて導入する企業が増加しました。

デスクトップ仮想化との違い

アプリケーション仮想化とデスクトップ仮想化の違いは、「OSを含んだデスクトップ全体を仮想化する」デスクトップ仮想化に対して、アプリケーション仮想化は「OSはユーザのパソコンにあるアプリケーション単体を仮想化する」点にあります。

デスクトップ仮想化は、「Virtual Desktop Infrastructure」の頭文字を取ったVDIとも呼ばれ、ネットワーク環境さえあれば、どこからでも共有端末からサーバーへアクセスしデスクトップ環境を使用できます。反対に、ネットワーク環境が無いとサーバーにアクセスできないため、使用することができないデメリットがあります。

アプリケーション仮想化では、ユーザは自分の端末にアプリケーションをインストールせず、サーバから配信されたアプリケーションを利用します。ネットワーク環境が必要かどうかは製品によっても異なり、常にネットワーク環境が必要なものと、アプリケーション配布後であればオフラインでも動作可能なものがあります。

どちらも仮想化という意味では同じですが「OSが含まれるか」といった点に大きな違いがあると言えます。

アプリケーション仮想化の製品比較

アプリケーション仮想化に役立つ主な製品

ここからは、アプリケーション仮想化に役立つ主な製品について解説します。

製品名特出した特徴
Citrix Virtual Apps・ICAプロトコルを利用した画面転送技術を搭載・公開アプリケーション配信機能あり
VMware ThinApp・レガシーアプリケーションの移行が可能・ユーザーごとにアクセスコントロールできる
Microsoft Application Virtualization・セキュリティグループにあわせて自動配信、利用停止が可能・アプリケーションの利用状況レポート機能が充実
Numecent Cloudpaging・独自のWindowsコンテナ技術を搭載し、初期設定済みのアプリを配信可能・OS内部のシステム競合のトラブルを軽減する効果が高い

アプリケーション仮想化製品 比較表

Citrix Virtual AppsVMware ThinAppMicrosoft App-VNumecent Cloudpaging
動作場所※1サーバー(画面転送)ローカルマシンローカルマシンローカルマシン
OSの依存緩和※2
オフライン利用※3
配信システム※4
アプリの使用権限管理※5
配信後のコントロール※6
ローカルマシンへのエージェントのインストール※7不要(パッケージに内包)不要必要

※1 どこのリソースで動作するか。「ローカルマシン」はPCのリソースを使って動作する。

※2 古いアプリが最新OSで動くなど、OSとの互換性を緩和させる機能

※3 〇はローカルにインストールが済めばオフライン動作可。

※4 配信ポータルなどがあるか

※5 どのユーザーだけ利用可、どの部署だけ利用可などの制限ができるか

※6 利用中のアプリを使用不可にしたり、あとから変えられるか

※7 事前にローカルマシンにエージェントアプリをインストールしておく必要があるかどうか

下記でそれぞれの特徴や導入メリットに触れながら解説するので、参考にしてみましょう。

Citrix Virtual Apps(旧名称:Citrix XenApp)

「Citrix Virtual Apps(シトリックス・バーチャルアップス)」は、中小規模企業向けの代表的なアプリケーション仮想化ソリューションです。安全かつ低コストでアプリケーションを利用できる環境構築を支援するツールです。

Citrix社が独自に開発したICAプロトコルを利用した画面転送技術を搭載し、低帯域なネットワーク環境でも問題なく稼働できます。ローカル環境でアプリケーションを実行しているときと変わらないUXを実現しているため、ネットワーク環境を統一できないシーンにもおすすめです。

公開アプリケーション機能を使えば、サーバー上で実行しているアプリケーション画面イメージだけをクライアント端末に配信することも可能です。物理サーバーだけでなく仮想サーバーでもアプリケーションの配信ができ、使い勝手が良いところが多くのユーザーから高評価を得ています。

VMware ThinApp

「VMware ThinApp(ブイエムウェア・シンアップ)」は、アプリケーションとその動作に必要なOS機能をパッケージしてユーザに提供するアプリケーション仮想化製品です。アプリケーションのインストール工数を削減しやすく、管理する側の工数だけでなく現場で働く従業員の工数も削減できる点が喜ばれれいます。

また、Windows XP用アプリケーションをWindows 7上で動作させるなど、レガシーアプリケーションを移行できるのも特徴です。OSを気にすることなく誰もが同じアプリケーションを使用できるようになり、最小限のコストで普段通りの業務ができます。

ユーザーごとに権限を変えるなどアクセスコントロールも可能で、セキュリティ対策やライセンス違反予防にも最適です。

Microsoft Application Virtualization (App-V)

「Microsoft Application Virtualization (App-V)(マイクロソフト・アプリケーション・バーチャライゼーション)」は、Microsoft社によるアプリケーション仮想化テクノロジーです。

アプリケーションをインストールすることなく使用できるといった基本的な機能だけでなく、アプリケーションを事前に設定済みの状態で展開できるなどの機能が搭載されています。設定のオンボーディングをすることなく即時業務に取り掛かれることから、生産性の向上も期待できます。

Active Directoryのセキュリティグループにあわせて自動配信や利用停止ができるので、セキュリティレベルも高く保てるのが特長です。アプリケーションの利用状況をレポートする機能を活用すれば、さらなるセキュリティ向上や業務の可視化にも貢献します。

※Microsoft Application Virtualization (App-V)は2026年4月にサポート終了予定となっています。

Numecent Cloudpaging

「Numecent Cloudpaging」とは、Numecent社(ニューメセント)が2012年に開発した、革新的なアプリケーション仮想化・Windowsコンテナ化技術です。

大きな特徴として、独自のWindowsコンテナ技術を搭載している点が挙げられます。初期設定済みのアプリケーションを配信できるため、アプリケーションの新旧を問わずひとつのOS上で稼働させられます。

その結果、OS環境を問わず一定のアプリケーションを提供できることや、バージョンやスペックを気にすることなく使用できることなど、多くのメリットがあります。

同様にOS内部のシステム競合のトラブルを軽減する効果もあり、ローカル環境にアプリケーションがインストールされないメリットを最大化できます。

初期設定済みのアプリケーションを配信できることは、システム管理者側の負担軽減になりします。詳細な導入マニュアルの作成や、細かい指導をする必要がなく、本部側で一括管理することも可能です。

Numecent Cloudpagingについてはこちら

まとめ

アプリケーション仮想化は、業務効率向上やセキュリティ環境構築などに大いに貢献します。

支店や従業員ごとにパソコンのOS(またはスペック)が異なる企業や、情報システム部門におけるアプリケーション管理、オンボーディングが大きな負担となっている企業では、積極的にアプリケーション仮想化を検討してみましょう。

トゥモロー・ネットがご支援できること

トゥモロー・ネットはNumecent Cloudpagingの販売をはじめとして、仮想化統合ソリューションや仮想化インフラの整備をサポートしています。

どの製品を選択すべきか分からないという場合も、目的や状況を確認した上でご提案から、構築、サポートまでを実施いたします。是非、お気軽にお問い合わせください。

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この記事の筆者

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