Supermicro製Qumuloアプライアンスサーバー及びQumulo Sizerによる構成とモデル別構成案【トゥモロー・ネット テックブログ】
Qumuloとは、2012年に設立された米国のデータストレージ専業ベンダーであり、その中心的な製品名称でもあります。独自のファイルシステム(QSFS)によるスケールアウト型NAS製品です。また、クラウドストレージプラットフォームとしてAmazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure(Azure)、またはGoogle Cloud Platform(GCP)でも使用できます。
トゥモロー・ネットは 、特定のSupermicro製サーバ(アプライアンスモデル)に、Qumuloソフトウェアを搭載した形で提供しています。また、Qumuloの構成(必要なストレージ容量やノード数など)をサイジングするためのツールとして、Qumulo社からサイジングツール(Qumulo Sizer, アカウント登録要)が提供されています。
目次
Supermicro製アプライアンスモデルとQumulo Sizer利用のポイント
Supermicro製のアプライアンスモデルには、大きく2つのモデル構成のご用意があり、1つは、NVMeドライブとHDDドライブを組み合わせたHybridモデル構成、もう一つは、NVMeドライブのみで構成されるオールフラッシュ構成となります。
各モデル構成では、搭載されているディスク容量に応じて、いくつかのモデルが選択可能となっており、搭載されるCPU構成やメモリ構成、ネットワーク構成は事前に定義されています。従って、構成を確定するには必要とされるクラスタ容量(トータルで求められる実効容量)を起点に、Qumulo Sizerでモデルやノード数を選択して頂くことになります。なお、Qumuloクラスタは最小4台から構成して頂く必要があります。
Qumulo on Supermicro データシート
https://qumulo.com/wp-content/uploads/2023/06/Supermicro-Qumulo-Data-Sheet.pdf
Qumulo Sizer (利用するにはアカウント登録が必要)
Supermicro製Qumuloアプライアンスモデルにおける構成毎の性能値を指標として、NASサーバシステムとして期待される構成案を示したいと思います。
下記の表は、アプライアンスモデルにQumulo Sizerによる性能値(IOPS, Single Stream Write)の値を示したものです。
なお、表の作成にあたり、基にしたリファレンス構成の表記修正とQumulo Sizerのシミュレーション値を追加しています。
このスペック情報を基に、考慮すべきポイントを説明しながら、(Qumulo Sizerを使いつつ)具体的なモデルを選択していきたいと思います。
まずは、大きく2つの観点から選択肢を絞り込んでいきます。
- 価格重視の場合は、Hybrid構成 +General Purpose License (補足参照)構成 にて、必要容量(Usable)で選択、必要となるネットワーク帯域も25GbEで構成可能なため、ネットワーク機器も含めて、コストを抑えることが可能です。
- より高い性能(IOPS)を求められる場合は、All-NVMe構成で、必要容量(Usable)で選択ください。
いずれの場合も、ノード数は最小4台からのスタートとなりますが、必要容量(Usable ) に応じて、必要な最低ノード数はモデル毎に自動計算されます。
また、耐障害性の観点から、クラスタ全体で2ドライブ障害または、1ノード障害までの障害に耐えられる構成が既定値となっています。
(補足)
Qumuloソフトウェアライセンスについて
https://qumulo.com/terms-hub/software-use-guidelines
Qumuloはサブスクリプションライセンスとして、選択されたハードウェアプラットフォームごとに、そのサポートマトリックスに応じて、2つのライセンスクラス(Activeか、General Purpose)から選択して利用できます。
より高い耐障害性が求められる場合には、Qumulo Sizerの“DATA PROTECTION”項目で、必要とされるドライブ障害本数やノード障害数を指定して頂くことで必要なノード数によるクラスタ構成が作成可能です
ここでは、クラスタ全体での同時ドライブ障害数を2本から3本に向上させたい場合、Sizerの”DATA PROTECTION”の項目で変更設定すると、必要なノード数が自動で構成変更された実行例を示しています。
Qumulo Sizerを利用したモデル別構成
具体的な構成案を検討する際のガイドとして、必要なストレージ容量を満たしつつ、求められる処理性能に応じて、構成案を絞る方法はすでに説明した通りです。
ここからは、以下の構成条件で典型的な構成案を示していきます。
- 最小構成モデル: 実効容量が最小となる構成 (4ノードでHybrid構成)
→ A+ ASG-1014S 96TB GP x4ノード (223TB Usable Capacity)
(スタート価格が最大限抑えられるパターンになります) - 容量優先モデル: 実効容量が最大となる構成 (4ノードでHybrid構成)
→ A+ ASG-1014S 240TB x4ノード (560TB Usable Capacity)
(容量単価が最大限抑えられるパターンになります)
- 性能優先モデル: フラッシュ構成でIOPSが高い構成 (4ノードでAll NVMe構成 )
→ A+WIO-1114S 153TB x4ノード (348TB Usable Capacity)
(IOPS処理性能が高いパターンになります)
最小構成モデル: 実効容量が最小となる構成
A+ ASG-1014S 96TB GP x4ノード (223TB Usable Capacity)
(スタート価格が最大限抑えられるパターンになります)
容量優先モデル: 実効容量が最大となる構成
A+ ASG-1014S 240TB x4ノード (560TB Usable Capacity)
(容量単価が最大限抑えられるパターンになります)
性能優先モデル: フラッシュ構成でIOPSが高い構成
A+WIO-1114S 153TB x4ノード (348TB Usable Capacity)
(IOPS処理性能が高いパターンになります)
各構成のユースケースについて
ここまで3つの構成案(最小構成、容量優先、性能優先)を示しましたが、具体的なユースケースを考えてみたいと思います。
当然ですが、スケールアウト型NASストレージ製品であるQumuloは、ノードを追加することで提供可能なストレージ容量が順次拡張可能です。したがって、初期の投資やその後の拡張予定を考慮して採用するモデルを選択して頂くことになります。
最小構成案
初期投資を抑えつつ、拡張性の必要がない、もしくは、限られたノード追加レベルで対応が可能な用途になります。具体的には利用者数が予想可能なファイルサーバーに最適です。
容量優先案
初期導入時から容量が求められる場合で、その後の短期間での容量拡張性が必要とされる用途になります。具体的には利用者数の拡大が予測される場合や提供すべきデータがサイズ的に大きい利用の場合に最適です。1つ1つのファイルサイズが大きい(写真や動画)場合やファイル数が大量になるようなコンテンツ特性があるシステム用途向けのサービス基盤に最適です。
性能優先案
オールフラッシュ構成で、IO性能を求められる構成です。
標準的なネットワーク基盤(Ethernet)を利用しつつ、AIワークロードのトレーニングや推論処理を行う際に、性能を求められる用途向けとなります。また、ノードあたりの容量拡張性も考慮していますので、一番高価な構成です。利用者数が想定できる場合は、ストレージ容量を最適化することで、価格を抑制する構成も可能です。
まとめ
増え続けるデータを利活用するためのスケールアウト型のNASストレージは、市場からますます必要とされてきています。
また、増え続けるデータに対する処理性能やデータ管理の機能も、重要なものになります。
データを貯める器として、ほぼ無限の拡張性(論理上は9ZB)と優れたデータ管理基盤として、Qumulo製品がNASストレージをご検討頂く際のご参考になりましたら幸いです。
トゥモロー・ネットでご支援できること
トゥモロー・ネットでは、NASストレージの構成検討から導入支援サービス、保守サポートまでご相談頂ける体制をご用意しています。新しくスケールアウトNASを利用しようか検討している方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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この記事の筆者
株式会社トゥモロー・ネット
クラウドソリューション本部
トゥモロー・ネットは「ITをもとに楽しい未来へつなごう」という経営理念のもと、感動や喜びのある、より良い社会へと導く企業を目指し、最先端のテクノロジーとサステナブルなインフラを提供しています。設立以来培ってきたハードウェア・ソフトウェア製造・販売、運用、保守などインフラに関わる豊富な実績と近年注力するAIサービスのコンサルティング、開発、運用、サポートにより、国内システムインテグレーション市場においてユニークなポジションを確立しています。
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