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【初心者向け】FLOPSとは?GPUサーバーの性能指標を解説【トゥモロー・ネット テックブログ】

近年、AIや機械学習の発展により、高性能な計算処理を求める声が高まっています。その中で、コンピュータの処理能力を示す指標として「FLOPS(Floating-point Operations Per Second)」が重要視されています。

FLOPSは、1秒間に実行できる浮動小数点演算の回数を示し、特にGPUの性能評価において重要な指標です。本記事では、FLOPSの基本概念からGPUサーバーにおける役割、活用方法について詳しく解説し、GPUの選定に役立つ知識を提供します。

FLOPSの基本概念

コンピュータの計算能力を評価する指標として「FLOPS(Floating-point Operations Per Second)」が用いられます。FLOPSは1秒間に実行できる浮動小数点演算の回数を示し、特に科学技術計算やAI分野での処理性能を測る際に重要視されます。

ここでは、FLOPSの概念について解説します。

FLOPSとは何か

FLOPSとは、コンピュータが1秒間に実行できる浮動小数点演算の回数を表す指標です。一般的に、科学技術計算や人工知能(AI)、機械学習など、大量の数値計算を要する分野で性能評価の基準として利用されます。

例えば、スーパーコンピュータや高性能GPUサーバーは、FLOPS値が高いほど複雑な演算を短時間で処理できます。FLOPSの単位には、ギガFLOPS(GFLOPS:10⁹ FLOPS)、テラFLOPS(TFLOPS:10¹² FLOPS)、ペタFLOPS(PFLOPS:10¹⁵ FLOPS)などがあり、より高性能なシステムほど大きな数値になります。

単精度と倍精度の違い

FLOPSには、計算精度の違いによってFP8、FP16(半精度)、FP32(単精度)、FP64(倍精度)があります。

単精度は32ビットの浮動小数点を用いるため、処理速度が速く、画像処理や機械学習などに適しているのが特徴です。

一方、倍精度は64ビットの浮動小数点を使用し、より精密な計算が求められる科学技術計算や金融シミュレーションなどで使用されます。一般的に、倍精度演算は単精度よりも計算コストが高く、消費電力や処理時間が増加する傾向があります。

また、8ビット、16ビットは計算精度や範囲において制限がありますが、ハードウェアのパフォーマンスやメモリ使用効率を改善するために使用されることが多くなります。

用途に応じて適切な精度を選択することが重要です。

GPUサーバーにおけるFLOPSの重要性

GPUサーバーの性能評価においてFLOPSは重要な指標です。特に、CPUと比較した際の処理能力の違いや、FLOPSが実際のパフォーマンスに与える影響を理解することで、最適なサーバー環境を選定できます。

ここでは、それぞれの比較を解説します。

GPUとCPUのFLOPS性能比較

GPUとCPUは、それぞれ異なる計算処理の特性を持っています。一般的に、GPUは数千個~数万個のコアを備え、大量の並列処理を同時に実行できるため、特定の計算においてCPUよりも高いFLOPS性能を発揮します。

例えば、行列演算やディープラーニングの学習プロセスなど、多くのデータを並列処理する場面では、GPUの優位性が顕著です。一方で、CPUは単一のスレッドあたりの処理能力が高く、複雑なロジック処理や制御系の処理に向いています。

そのため、GPUとCPUは用途に応じて使い分けることが重要です。機械学習の推論処理ではCPUでも十分な性能を発揮することがあり、タスクの特性に応じた適切な選択が求められます。

FLOPSと実際の性能の関係

FLOPSは計算能力を示す指標ですが、実際のパフォーマンスはFLOPSの値だけでは判断できません。メモリ帯域幅やキャッシュの最適化、I/O性能などもシステム全体の処理速度に影響を与えます。

例えば、高いFLOPS値を持つGPUを使用しても、データ転送速度が遅い場合、計算の待ち時間が発生し、期待した性能が得られないことがあります。

また、GPUのピーク性能は、特定の条件下でのみ発揮されるため、実際のワークロードに応じた最適化が必要です。実運用においては、FLOPSだけでなく、メモリやストレージのボトルネックを考慮した総合的なシステム設計が不可欠です。

GPUサーバーの性能指標としてのFLOPSの活用

FLOPSはGPUサーバーの性能を評価する上で重要な指標ですが、実際の運用では単なる数値だけでなく、ベンチマークテストを通じた評価が不可欠です。

ここでは、ベンチマークテストによる評価と性能例について解説します。

ベンチマークテストによる評価

GPUサーバーの性能を正確に把握するためには、FLOPSの理論値だけではなく、実際のアプリケーションを使ったベンチマークテストを行うことが重要です。

例えば、深層学習のトレーニングや科学計算など、具体的な用途に応じた負荷テストを実施することで、実際の計算能力をより正確に評価できます。

また、ベンチマークには「LINPACK」や「SPEC ACCEL」などの標準化されたテストがあり、これらを利用することで異なるGPUの比較が可能です。

理論上のFLOPS性能が高いGPUであっても、メモリ帯域幅やデータ転送速度などがボトルネックとなる場合があり、総合的な視点で評価することが求められます。

最新GPUのFLOPS性能例

近年のGPUはFLOPS性能が大幅に向上しており、特にディープラーニング向けの最新モデルでは圧倒的な計算能力を発揮します。

例えば、NVIDIAのH200 GPUはFP8演算で32PFLOPS、FP64演算で0.5PFLOPSという性能を持っています。これは従来のモデルと比較して大幅な向上を示しており、特定の用途では従来の数倍以上のパフォーマンスが期待できます。

ただし、FLOPSの向上がそのまま実際のアプリケーション性能につながるわけではありません。GPUのメモリ容量や通信帯域、ソフトウェアの最適化も重要な要素となります。

そのため、最新のGPUを導入する際は、単なるFLOPSの値だけでなく、実際の用途に適した性能を見極めることが必要です。

まとめ

FLOPSはGPUサーバーの性能を示す基本的な指標であり、特に科学計算やAIの分野では重要な意味を持ちます。しかし、FLOPSの数値だけでは実際の処理性能を完全には把握できません。

そのため、ベンチマークテストを活用し、用途に応じた総合的な評価を行うことが求められます。

また、最新のGPUは従来のモデルと比べて大幅に性能が向上していますが、導入時にはメモリやデータ転送速度などの要素も考慮しなければなりません。

最適なGPUサーバーを選択するためには、FLOPSだけでなく、実際のワークロードに基づいた評価を行い、ハードウェアとソフトウェアのバランスを考慮することが重要です。

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この記事を書いた人

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