NVMeとは?NVMe採用のSSDとSATA SSDの違いを解説【トゥモロー・ネット テックブログ】
NVMe(Non-Volatile Memory Express)は、高速のデータ転送を実現した新たなSSD技術として、近年注目を集めています。しかし、従来のSATA SSDと何が違うのかわからず、困っている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回の記事では、NVMeの特徴や仕様、今後の課題、SATAとの違いなどについて、詳しく解説していきます。
新しくNVMeを利用しようか検討している方は、ぜひ参考にしてください。
目次
NVMeとは?
NVMe(Non-Volatile Memory Express)は、非揮発性メモリを使用するSSDの新しい通信規格です。
NVMeを採用したSSDは、通常のSSDより小型で、データの読み書きスピードが高速です。そのため、SATA (Serial Advanced Technology Attachment)やSAS(Serial Attached SCSI)接続より高速なデータ転送が実現します。
NVMeが開発された背景として、従来のSAS SSDやSATA SSDの転送速度の限界が挙げられます。それを克服するため、NVMeではSSDやフラッシュストレージのメリットを最大限利用し、データ処理を飛躍的に高速化しました。
NVMeは、そのパフォーマンス性の高さから、さまざまな分野で導入が進んでいます。
NVMeの特徴
NVMe SSDは、高速データ転送を実現するため、従来のSSDとは異なる特徴を備えています。
ここでは、代表的な2つの特徴について、詳細を確認していきましょう。
コマンドキューの数
NVMe SSDは、コマンド処理に必要なキューの数を、従来の1個から65536個へ大幅に増加させました。
これにより、多くのコマンドを同時に処理でき、データ転送の並列処理力が大きく向上しました。また、従来のSATA SSDと比べ、NVMe SSDは複数のデータ要求を同時に処理でき、高い性能と低遅延を実現しています。
4KBデータの転送効率
NVMe SSDは、1フェッチから2フェッチになったことで、転送時に必要なメッセージが2つから1つへと減少しました。これにより、データの転送効率が大きく向上し、より効率的なデータストレージが実現されました。
特に、4KBなどの小さなデータブロックの転送時に効果的で、従来より高速な読み書きが可能となりました。
NVMe SSDのフォームファクタ
NVMe SSDは、さまざまなフォームファクタ(物理的なサイズ・形状)で提供されています。それぞれのフォームファクタは、適する用途やシステム構成が異なるので、目的に応じて適切なものを選ぶ必要があります。
以下で、主要な4つのNVMe SSDのフォームファクタについて、特徴や違いを説明します。
M.2
M.2フォームファクタのNVMe SSDは、主にノートパソコンなどの小型端末向けに使われる、コンパクトなサイズの規格です。
M.2 SSDは、通常のPCIe拡張スロットに取り付けられ、高性能のストレージを提供します。
U.2
U.2フォームファクタのNVMe SSDは、3.5インチのハードドライブと同じサイズのケースに収まる規格です。
U.2 SSDは、スケーラビリティと信頼性が求められ、大容量のストレージと高性能を必要とする環境で利用されます。
AIC
AIC(Add-In Card)フォームファクタのNVMe SSDは、PCIeスロットに拡張カードとして取り付けられる規格です。
AIC SSDは、大容量のデータ処理やストレージ、パフォーマンス性の高さが重要となる、ワークステーションやサーバーなどで利用されています。
EDSFF
EDSFF(Enterprise & Datacenter Storage Form Factor)は、名前の通り、エンタープライズとデータセンター向けに設計されたNVMe SSDの規格です。
EDSFF SSDは、大規模なデータストレージを備え、冷却効率が高いので、データセンターでの運用に最適です。
NVMeの課題
NVMeは、多くの環境で導入が進む一方で、いくつかの課題に直面しています。
ここでは、代表的な3種類の課題について、詳細を確認していきましょう。
CPU PCIeレーン数の制約
NVMe SSDの高速なデータ転送を実現させるには、PCIeレーン数が大きく関係します。しかし、CPUにはPCIeレーン数の制約があるため、接続できるNVMe SSDの数も、それに従って制限されます。
たとえばIntelのCPUにおいては、PCIeレーン数はプロセッサのモデルによって異なります。一般的なデスクトップ用のCPUでは、16~20個のPCIeレーンが備わっていますが、これらのレーンは、GPUをはじめ、さまざまなデバイスに割り当てられます。そのため、GPUに割くレーン数が増えるなどすると、NVMe SSD用のレーンに制限が生じます。
また、AMDのCPUには、PCIeレーン数が多く割り当てられており、通常は20以上のPCIeレーンが備わっています。ただ、チップセットリンクやGPUなどにレーンが使われた結果、NVMe SSD用のレーンが制限されることも多いので、注意が必要です。
NVMe SSDでのHW RAID構成するための課題
NVMe SSDは、そのパフォーマンス性の高さから、データセンターやサーバーでの利用が増えています。しかし、NVMe SSDでHW RAID(Redundant Array of Independent Disks)を構成するには、選択可能なオプションが制限される点に注意が必要です。
対処法としては、HW RAIDを構成する前に、使用したいNVMe SSDとHW RAIDコントローラーの互換性を確認することが重要になります。それぞれのメーカーのWEBサイト等を参照し、間違いのない組み合わせになるよう注意しましょう。
LED locateの課題
NVMe SSDには、ドライブを特定するためのLED(Light Emitting Diode)が備わっていて、これを「LED locate」と呼んでいます。しかし、一部のNVMeメーカーの製品では、LED locate が正しく点灯しない問題が発生しています。
この問題は、今後の新製品リリースによって改善が見込まれていますが、現時点では、症状が発生した際の対応策は示されていません。
そのため、LED locateを頼りにドライブを特定する必要がある場合は、製品を選ぶ際に不具合が報告されていないか、しっかり確認するようにしましょう。
NVMe SSD とSATA SSDの違い
NVMe SSDとSATA SSDの間には、いくつかの違いがあります。ここでは、代表的な4種類の違いについて、詳しく確認していきましょう。
転送速度
転送速度は、NVMe SSDの方がSATA SSDより高速です。
NVMeはPCIe接続規格を採用しているため、非常に高い帯域幅と、低いレイテンシが実現し、大容量のデータ処理が可能となります。
その一方、SATA SSDは従来の古典的なSATA接続規格を使っているため、帯域幅が低くなり、転送速度もNVMeに比べると遅くなる傾向にあります。
製品価格
製品価格は、NVMe SSDの方がSATA SSDより高価です。
SATAはデータ転送規格として20年以上の歴史があり、低コストでの製造が可能となっています。その一方、NVMeはまだ新しく、フラッシュメモリとの組み合わせなどにコストがかかるので、どうしても製品価格が高くなってしまいます。
そのため、高機能を求める場合はNVMeを、価格と性能のバランスを求めるならSATAと、ニーズに応じて選び分けるとよいでしょう。
発熱量
NVMe SSDは、高速データ通信を実現させるため、高負荷のデータ処理を行う必要があり、発熱量がSATA SSDより多くなりやすいです。
そのため、NVMeを採用する場合は、適切な冷却装置の設置が重要となります。
ただ、一般的なNVMeにはヒートシンクや冷却ファンが既に組み込まれているため、別途の設置は不要な場合も多いです。
接続規格
NVMe SSDとSATA SSDの違いは、接続規格にもあります。
NVMe SSDはPCIe接続規格を使用しています。これは高い速度を実現する接続方法ですが、古いPCやマザーボードだと、互換性がなく接続できない可能性があります。
その一方、SATA SSDは歴史のあるSATA接続規格を採用しているため、ほとんどのデバイスに接続が可能です。
まとめ
今回は、NVMeの特徴や課題、SATAとの違いなどについて、詳しく確認してきました。
NVMeは、従来のSATAに比べて、高効率のデータ通信を実現したSSD規格であり、その高速性からさまざまな分野で注目を浴びています。従来のSSDに不満がある場合や、より高速なデータ転送を必要とする場合は、NVMeを導入することを検討してみてはいかがでしょうか。
トゥモロー・ネットでは、NVMeを沢山搭載できるSMC(スーパーマイクロ)のサーバーを多数ご提供しています。
24本以上のNVMeを搭載可能なNVMeサーバーが15モデル存在するので、詳細が気になる方は、お気軽にお問い合わせください。
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この記事の筆者
株式会社トゥモロー・ネット
クラウドソリューション本部
トゥモロー・ネットは「ITをもとに楽しい未来へつなごう」という経営理念のもと、感動や喜びのある、より良い社会へと導く企業を目指し、最先端のテクノロジーとサステナブルなインフラを提供しています。設立以来培ってきたハードウェア・ソフトウェア製造・販売、運用、保守などインフラに関わる豊富な実績と近年注力するAIサービスのコンサルティング、開発、運用、サポートにより、国内システムインテグレーション市場においてユニークなポジションを確立しています。
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