2024.05.20

GPU性能の見方とは?指標にすべき点や選定のポイントを解説【トゥモロー・ネット テックブログ】

一口にGPUと言っても製品数は多く、どんなメーカー・モデルの製品にするべきか迷ってしまうケースもあります。選定を誤ると「オーバースペックでコストパフォーマンスが悪い」「アンダースペックで理想通りに使えない」などのミスマッチが生じるため、GPUを選ぶ際には注意が必要です。

本記事では、GPU性能の見方や指標にすべき点について解説します。選定時に注力するポイントを知りたいときにお役立てください。

GPUの代表的なメーカー

まずは、GPUの代表的なメーカーについて紹介します。GPUの2大メーカーは「NVIDIA」と「AMD」であるため、ここではそれぞれの特徴について解説します。

NVIDIA

NVIDIA社は、コンピューターグラフィックス、人工知能(AI)、ディープラーニング、仮想化技術などを手掛けるアメリカのテクノロジー企業です。

ゲーミングGPUだけでなくAI開発向けのGPUまで、あらゆる目的に対応できるGPUを世界中で提供しています。GPUを搭載した多くのPCは、NVIDIAのGPUを採用している点が強みです。例えば、GeForceシリーズやQuadroシリーズなどが展開され、GPUの第一人者として市場を牽引しています。

また、ディープラーニングやAI向けのプラットフォームである「NVIDIA Tesla」や「NVIDIA Jetson」なども展開しています。AI開発・利用の先駆者としてだけでなく、自動運転技術やロボティクスの分野など幅広く活用されている点も強みです。

さらに、GPUに関するノウハウがインターネット上に多く掲載されているので、開発における不明な点をすぐに解決できるメリットがあります。また、もう一つの代表メーカーであるAMDと比較して、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)などの大規模なシステム構築事例も多くあります。

機械学習において活用できる機能やツールも豊富なことから、多くの技術者が利用しています。

AMD

AMD社は、マイクロプロセッサ等の開発・製造を主力としたアメリカの企業です。パソコンやサーバー市場における市場が大きく、x86アーキテクチャのCPUや、GPUの設計・製造で知られています。特にGPU分野においてはRadeonシリーズが有名で、ゲームやグラフィックス処理において高い性能を提供しています。

動画やCGなどマルチメディア関連の編集作業にも使いやすく、クリエイティブ業界で導入されていることも多いです。コンシューマー向け製品だけでなく、サーバーやデータセンターなど企業向けの製品も多数販売されています。

NVIDIA製に比べてAMD製のGPUは、機械学習の分野では優れていないとされています。ただ、コストパフォーマンスは好評であり、小規模なシステムでの活用には向いていると言えます。

GPUの性能の見方と指標にするべき点

GPUを検討する際は、製品やモデルごとのスペックを比較することが大切です。エントリーモデルからハイエンドモデルまでさまざまなGPUが提供されているので、用途やコストに見合った理想的なGPUを選択する必要があります。

下記ではGPUの性能の見方と指標にすべき点について解説します。

コア数と種類

GPUのコアの数が多ければ、複雑かつ膨大な計算でもスピーディーに処理できるメリットがあります。その他、解像度やリフレッシュレート、リアルタイムレイトレーシングなど高性能なグラフィックスを生成する際にもコア数の多い方が有利です。

「コア」はグラフィックス処理ユニット内部における基本的な演算ユニットで、GPUの数やグラフィックスメモリー(VRAM容量)を注力して比較します。

ただし、コア数が多いと高度な冷却機能が必要になる点に注意が必要です。消費電力が多いため発熱しやすく、大きな電力を要求するためサーバーの要件が厳しくなってしまう可能性があり、冷却性能や環境要件も厳しくなり、かつ稼動中の電力コストもそれに比例して上がります。

消費電力

高性能なGPUはより多くの電力を必要とすることが多く、よく比較しないまま購入してしまうと想像以上の電力コスト増にも繋がりかねません。従って、消費電力を抑えられる電源ユニットや電力供給システムが求められます。また、コア数が多いと消費電力も高くなってしまうので、この辺りはバランスを見極めた上でのGPU選定が重要です。

その他、消費電力が大きくなると発熱による熱暴走のリスクが高まります。GPUが熱を持つとパフォーマンスに影響するため、強固な冷却機能が必要となる点には注意が必要です。

冷却性能

GPUには、発熱による熱暴走やパフォーマンス低下を防ぐための冷却機能が搭載されています。適切な冷徹機能が備わってなければ、長時間の使用や負荷の高いタスク処理ができなくなる場合があります。その上、GPU自体の故障や寿命の短縮にもつながり、多くのコストを要してしまいます。そのため選定の際には、この辺りに十分留意が必要です。

なお、冷却機能にはいくつかの種類があり、ファンの回転により空気を送り冷却する「空冷」、GPU内部に水を流して冷やす「水冷」、液体窒素を使って冷やす「LN42冷却」に分かれます。

メモリ

メモリの多いGPUは、大規模のデータセットや複雑な計算をする際に有用です。データの保存領域が大きいため途中経過を保存しておくことができ、大量のデータ処理やディープラーニングのトレーニングに役立ちます。

また、高解像度な画像や動画を処理するときにも大きなメモリが役立ちます。4Kや8Kの動画でもリアルタイムに処理できる他、複数のタスクを同時進行しながら画像・動画を生成するなどフレキシブルな動きも処理できます。

同時に、メモリとプロセッサでデータを送受信する幅を示す「バス幅」も重要です。バス幅が大きいことで、データ送受信のスピードが速くなる他、一度に大量のデータをやり取りできるので処理スピードが速くなります。

コスト

コストについても、GPUの指標とすべき点では重要です。オンプレミスでGPUを導入する際、消費電力やメンテナンスにかかるコストも考慮しなければなりません。

GPUのコストは、性能・ブランド・モデル等により左右され、高性能であることや最新型モデルの場合はコストが高くなる傾向にあります。

反対に新しいGPUでも、エントリーモデルとして開発されているものであれば比較的安価に入手できるので検討するのもお勧めです。

とはいえ、GPUは「安ければ安いほど良い」ともいえません。用途によって求める性能は変わってくるため、まずは求める性能に達しているかを重視し、同じ性能のGPUをコスト別に比較して検討することが望ましいと言えます

GPU選定のポイント

最後に、GPU選定のポイントを解説します。用途に合った使いやすいGPUを探したいときは、以下を参考にしてください。

メーカーに着目する

GPU選定の際は、まずメーカーに着目します。既に多数のGPUを開発・提供しているメーカーや導入実績の多いモデルであれば、サポート体制も充実し、ネットでの情報も多いため困ったときに調査しやすく安心して購入できます。

具体的には、NVIDIAなど世界的に注目されているGPUメーカーを中心に、基本的なスペックや価格を比較してください。

利用シーンをイメージする

GPUを購入する前に、利用シーンをイメージしておくことが大切です。AI開発に活用するのか、高度なグラフィックス生成に使用するのか、没入感の高いゲームに使いたいのかなど、GPUの用途は多種多様です。「どんな用途か」次第で求めるスペックも変わってくるので、まずは目的を明確化することが必要です。

また、使用する年数や他に活用するデバイスとの互換性に合わせて選ぶなど、幅広い用途を考慮することも大切です。GPUは高価なものなので、この辺りのイメージをできるだけ広げた上で選定することが失敗しないコツだと言えます。

まとめ

GPUの性能はメーカーやモデルごとに異なるので、用途に合った製品を選定することが大切です。実績のあるメーカーを中心に理想に近いモデルを複数ピックアップし、価格・スペック・他デバイスとの互換性などを比較しながら選定していきましょう。

トゥモロー・ネットでご支援できること

トゥモロー・ネットはNVIDIAのパートナーとして各種GPU製品を取り扱っています。

どのサーバー、スペックを選んだら良いか分からないという方にも、用途にあわせてご提案から、構築、サポートまでを実施しています。是非、お気軽にお問い合わせください。

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この記事の筆者

株式会社トゥモロー・ネット

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