ニューラルネットワークとは?仕組みやAIとの関連性【トゥモロー・ネット テックブログ】
ニューラルネットワークは多くのAIモデル構築に利用されている手法であり、AI技術において重要な位置を占めるものです。また、ニューラルネットワークを発展させたディープラーニングは、現在まで続く第三次AIブームを生み出した技術でもあります。
ニューラルネットワークとはどのような手法であり、どのような仕組みでAIによる推論を実現しているのでしょうか。この記事では、ニューラルネットワークについて詳しくご紹介します。
目次
ニューラルネットワークとは
まず、ニューラルネットワークとはどのようなものであるか、簡単に解説します。
ニューラルネットワークはAI関連技術の一つ
ニューラルネットワークは、AIを実現するための手法の一つです。人間の脳内にある神経細胞を模したモデルであり、近年のAI開発において非常に重要な位置を占める技術です。
ニューラルネットワークでは、与えられた入力を、神経細胞を模した回路網に通し、結果を出力します。たとえば、ある画像をニューラルネットワークに入力すると、80%の確率で「りんご」、20%の確率で「もも」と判断するような仕組みを作ることができます。
この技術は、事業開発や日々の業務改善に幅広く活用することができます。たとえばラインに流れてくる果物を自動で分類して箱詰めしたい場合であれば、ラインをカメラで撮影した画像をニューラルネットワークに与えることで、最も可能性が高い果物を判別し、りんごとももを別の箱に分けることができます。
ニューラルネットワークとディープラーニング
ニューラルネットワークと関連の深い技術として、近年耳にすることが増えた「ディープラーニング」が挙げられます。ディープラーニングは、ニューラルネットワークを利用した技術です。ニューラルネットワークにおける入力から出力に至るまでの回路網を非常に深いものとすることで、判別精度を高めることができます。
ニューラルネットワークを発展させたディープラーニングにより、実用的な精度で画像解析などが可能となりました。ディープラーニングにより、いわゆる第三次AIブームが巻き起こされたといっても過言ではないでしょう。ただし、ディープラーニングの実行においては高い演算能力を持ったコンピュータが求められる点には注意が必要です。非常に深い回路網を実現するためには膨大な計算を行う必要があり、その計算処理を行うためにハイスペックなGPUを搭載したサーバーなどが求められます。
ニューラルネットワークの仕組み
以下では、ニューラルネットワークの仕組みについて紹介します。
入力層・中間層・出力層
ニューラルネットワークは、大きく「入力層」「中間層」「出力層」の3つで構成されます。それぞれの役割分担は以下のとおりです。
・入力層:インプットとなるデータが与えられる層であり、与えられたデータを中間層に伝搬させる。
・中間層:入力層、もしくはより上位の中間層から入力されたデータに対して重みづけを行い、下位の伝搬層、もしくは出力層へ伝搬させる。
・出力層:中間層から伝搬された結果を踏まえ、判別結果を出力する。
学習
ニューラルネットワークで精度高く判別を行うためには、中間層にてどのような重みづけを行い、出力層へ渡すかが重要となります。この重みづけを行うために、データを用いた学習が必要となるのです。たとえば、前述したりんごの画像を判定するAIを作る場合、さまざまなりんごの画像をニューラルネットに与えることで、中間層にて最もうまくりんごを判別できるように重みづけを設定します。このとき、様々なバリエーションのりんご画像をインプットすることで、多少色や形が異なるりんごも、正しくりんごとして判断できるようになります。
ニューラルネットワークの学習方法は様々な手法が存在しますが、その中でもよく知られているのが誤差逆伝播法です。誤差逆伝播法は、出力層で生じた誤差を反対方向に伝搬させることで、重みを更新していく方法です。たとえばりんごと判断すべき画像に対して、出力結果が「もも」となってしまったのであれば、その判断の誤りを中間層での重みづけに反映させていくことで、より正確な分類を実現できるようにします。
推論
学習済みのニューラルネットワークに対して新たなデータを投入すると、中間層の重みづけに基づき最も可能性が高い結果を出力することができます。写真に写っている果物は何なのか、機械翻訳であれば最も正しいと思われる翻訳内容はどのようなものか、不動産の評価であれば築年数や間取りに基づき最も妥当な売値はいくらかといった結果を出力することとなります。
これらの学習、推論を行うためには、大量の計算リソースが必要です。高性能なGPUサーバーを用意し、サーバー上で学習や推論を行うこととなります。
ニューラルネットワークの主な用途
以下では、ニューラルネットワークの主な用途を紹介します。
機械翻訳
機械翻訳は代表的なニューラルネットワークのユースケースの一つです。機械翻訳においては、ニューラルネットワークを発展させたRNN(リカレントニューラルネットワーク)やLSTM(Long Short Term Memory)という手法が利用されます。これらの手法では過去の情報を基に将来を予測することができます。たとえば「東京の家賃は○○い」という文章があった場合、文脈を踏まえると○○に入る可能性が高いのは「高い」である可能性が高い、といったことを予想できます。この特性を利用することで、これまでの文脈に基づき次に来るべき言葉を精度高く予想することができるのです。
画像認識
画像認識も、代表的なニューラルネットワークのユースケースの一つです。特に前述したディープラーニングの登場により、画像認識の精度は大幅に向上し「人の目よりも精度高く判別できるAI」が生み出されたことで、第三次AIブームが巻き起こることとなりました。
画像認識技術の応用の幅は広く、自動運転や製造ラインでの不良品判別、顔認証によるセキュリティ強化など、様々な用途においてニューラルネットワークが利用されています。
音声認識
音声認識もニューラルネットワークで実現することができます。入力された音声データの強弱や周波数、音と音の感覚などをインプットとしたニューラルネットワークを構築することで、会話内容を聞き取る音声認識AIを開発することができます。音声認識もまた、ディープラーニングにより大幅に精度が向上した領域の一つです。現在では、コールセンターでの自動応答や、スマートスピーカーなど、様々な領域で音声認識技術が利用されています。
まとめ
この記事では、ニューラルネットワークについて詳しくご紹介しました。ニューラルネットワークは現代のAIモデル開発において主要な技術となっており、まず押さえておくべき手法です。自身でプログラミングを行い、AIを開発される方はもちろんのこと、AI開発プロジェクトを主導される方であれば、まず押さえておくべき技術といえるでしょう。
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