AI開発環境の構築手順と必要なハード・ソフトを紹介【トゥモロー・ネット テックブログ】
AIモデルを開発し、学習や推論を行うためには、開発のための環境を用意する必要があります。AIを開発するためには、どのような環境が必要であり、またどのような手順で環境を準備すればよいのでしょうか。この記事では、AI開発を始められる方に向けて、AI開発環境を構築するために必要なハードウェア・ソフトウェアと、具体的な準備の流れについてご紹介します。
目次
AI開発環境の主な構築方法
AI開発環境の構築においては、大きく「個別に環境を構築する方法」と「クラウドサービスを利用する方法」の2つから選択することとなります。以下では、主なAI開発環境の構築方法として、これら2つについてご紹介します。
個別に環境構築
まずご紹介するのは、個別にサーバーやPC等のハードウェアを用意し、Python等のプログラミング言語、各種フレームワークなどをインストールして環境を構築する方法です。個別に環境を構築する方法は手間がかかるものの、マシンスペックを自由に決められ、またライブラリなども必要なものを柔軟に追加できるというメリットがあります。
クラウドサービスの活用
もうひとつは、各クラウドサービスベンダーが提供しているクラウド環境を利用する方法です。具体的には、以下のようなサービスを利用することとなります。
・Microsoft Azure Machine Learning
・Amazon SageMaker
・Google Vertex AI など
これらの各サービスはクラウドで提供されるため、個別にハードウェア等を調達する必要がなく手軽に環境を利用できる点がメリットです。ただし、クラウドである以上柔軟性については限定されてしまう点と、一定以上の利用が見込まれる場合にはコストが高くなりがちな点がデメリットといえます。
各手法の特徴を踏まえると、本格的にAI開発環境を構築し、大規模な学習や推論を行いたい場合には個別に環境を構築することがおすすめとなります。一方で、まず手軽に環境を利用してみたい場合にはクラウドサービスを活用することも有効です。
AI開発環境として必要なもの
具体的に、AI開発環境を構築するためには何を用意すればよいのでしょうか。以下では、個別に環境を構築するケースを前提として、AI開発環境を構築するために必要なものをご紹介します。
ハードウェア
まず、ハードウェアについてはサーバーやPC、GPUなどを用意することとなります。
サーバーもしくはPC
AIモデルの開発や学習、推論を行うためには、十分なスペックを持ったサーバーもしくはPCが必要となります。一定以上の規模で学習や推論を行う場合には、冷却設備や電源設備が備わったデータセンターにサーバーを設置するほうがベターですが、手軽にAIの開発を行いたい場合には、PC上に環境を構築することもできます。
GPU
AI開発において重要となるのがGPUです。大量の並列計算処理を行えるGPUの性能により、AIモデルの学習速度や推論速度が変わってきます。サーバーやPCに十分な性能を持ったGPUを搭載することで、AIモデルの学習や推論を高速に実施できるようにします。
なお、当社ではAI開発環境に最適なNVIDIA社のデータセンター向けGPU製品を提供しています。データセンター向けGPU製品を利用することで、圧倒的な速度での学習や推論を実現することができます。NVIDIA社のデータセンター向けGPU製品にご興味のある方は、以下をご参照ください。
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ソフトウェア
ソフトウェアについては、プログラミング言語のコンパイラやインタプリタ、フレームワーク、ライブラリなどを用意する必要があります。
プログラミング言語
AI開発において採用されやすいプログラミング言語の筆頭がPythonです。PythonにはAI開発に活用できるフレームワークやライブラリが多数用意されており、またインターネット上にもPythonを利用したAI開発に関する情報が多いことから、開発しやすさの点でもメリットがあります。
Python以外にも、RやC、Javaといった言語を利用してAIモデルを開発することもできます。
フレームワーク・ライブラリ
AIモデルの開発によく利用される機能があらかじめ備わっているのがフレームワークやライブラリです。これらを利用することで、1からAIモデルを開発する必要がなくなり、開発の効率化が図れます。
たとえば、Pythonでは以下のようなフレームワーク・ライブラリを利用することができます。
・TensorFlow:多次元配列(テンソル)の操作を行いやすくする機能が備わっています。
・PyTorch:機械学習のためのデータ取得、モデル構築等の機能が備わっています。
・scikit-learn:AIモデルを構築するための様々なアルゴリズムが用意されています。
AI開発環境の構築手順
以下では、AI開発環境の構築手順を解説します。
ハードウェアの準備
まず、GPUを搭載したサーバーやPCを調達します。小規模にAI開発を行う場合であればPC上での開発も可能ですが、一定以上の規模でAI開発を行いたい場合はGPUを搭載したGPUサーバーを用意することとなります。GPUサーバーを利用する場合、信頼性や安全性の観点から社内のラックなどではなく、設備の整ったデータセンターに設置することをおすすめします。
ソフトウェアの導入
サーバーにOSやプログラミング言語のコンパイラもしくはインタプリタ、各種ライブラリ、フレームワークをインストールします。場合により、開発に便利な機能が備わったIDE(統合開発環境)を導入することもあります。複数人でサーバーを利用する場合には、権限設定も行い、利用者に対してユーザーID・利用するディレクトリ等を割り当てます。
データの収集
DWHなどの既存のデータ蓄積環境からデータを連携する、もしくは新たに各システムなどからデータを集めることで、AI開発に必要なデータを収集します。ETLなどのツールを利用することで、他システムとのデータ連携を自動化・効率化することができます。
AIモデルの精度はデータの質と量により決まってくるため、どれだけのデータを確保できるかは非常に重要です。
AIモデル開発・学習
ここまでで構築した環境にて、AIモデルの開発や学習を行います。環境上で開発したAIモデルの精度を検証し、改善を進めていき、リリースを目指すこととなります。
より大規模なAI開発を行う場合などは、サーバーやGPUを追加しスペックを強化することも検討します。
まとめ
この記事では、AI開発環境の構築方法についてご紹介しました。AI開発においてはデータの量と質が重要ですが、併せてデータを現実的な時間内で学習し、推論を行うことができるだけのスペックを持ったサーバーやPCも必要です。特にGPUはAIの品質を左右する重要な要素となりますので、高度なAIモデルの開発にあたってはハイスペックなGPUを確保できるかがポイントといえるでしょう。
トゥモロー・ネットでご支援できること
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この記事の筆者
株式会社トゥモロー・ネット
クラウドソリューション本部
トゥモロー・ネットは「ITをもとに楽しい未来へつなごう」という経営理念のもと、感動や喜びのある、より良い社会へと導く企業を目指し、最先端のテクノロジーとサステナブルなインフラを提供しています。設立以来培ってきたハードウェア・ソフトウェア製造・販売、運用、保守などインフラに関わる豊富な実績と近年注力するAIサービスのコンサルティング、開発、運用、サポートにより、国内システムインテグレーション市場においてユニークなポジションを確立しています。
インフラからAIサービスまで包括的に提供することで、システム全体の柔軟性、ユーザビリティ、コストの最適化、パフォーマンス向上など、お客様の細かなニーズに沿った提案を行っています。
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