水冷サーバーとは?Supermicroの液冷ソリューションを例に解説【トゥモロー・ネット テックブログ】
データセンターの冷却技術が進化する中で、水冷サーバーが注目を集めています。従来の空冷方式では限界がある高温環境でも、効率的に冷却できる水冷方式は、高密度なハードウェアが求められる今日のIT環境で大きなメリットとなるでしょう。
本記事では、サーバー冷却の基本から、Supermicroが提供する液冷ソリューションについて詳しく解説します。液冷サーバーの構成や冷却効率の向上、コスト削減の可能性など、データセンター運用における利点に焦点を当てていくので、ぜひ最後までご一読ください。
目次
水冷サーバーとは?
水冷サーバーは、冷却水を使って効率的に熱を管理するサーバーの一種です。高密度なデータ処理を行う環境での利用が増えています。
従来、サーバーの冷却には空冷が一般的でしたが、空冷は冷却ファンを用いて空気を循環させるため、限られた冷却性能しか発揮できず、冷却効率や設置スペースの面で課題がありました。一方で水冷は、冷却水が熱を効率的に吸収し、配管を通じて外部に排熱する仕組みで、冷却性能が高く、エネルギー効率にも優れています。
このように、水冷サーバーは空冷に比べて冷却性能が高いため、サーバー密度が高く、稼働温度も上昇しやすいデータセンターにおいて、空冷を超える冷却ソリューションとして注目されています。
Supermicroの水冷ソリューションの特徴
Supermicroの水冷ソリューションは、高性能サーバーの冷却効率を向上させるだけでなく、データセンター全体の管理コスト削減やシステムの安定性にも効果がある総合的なソリューションです。以下で、具体的な特徴を詳しく見ていきます。
Supermicroの液冷サーバーの概要
Supermicroの液冷サーバーは、データセンター向けに開発された高性能かつ効率的な冷却システムを備えています。液冷ソリューションは、サーバー単体の冷却機能にとどまらず、液冷インフラの構築からネットワーク機器、ラック全体の冷却までを一元管理できるトータルソリューションを提供している点が特徴です。
Supermicroは、液冷に対応したサーバーやネットワーク機器だけでなく、データセンター全体の冷却設計もサポートしており、総合的な液冷インフラの提供に力を入れています。このシステムによって、機器ごとの冷却性能を最適化しつつ、全体のエネルギー効率も向上させ、冷却コストの低減や環境への負担軽減を実現しています。
なぜSupermicroの液冷ソリューションが選ばれるのか
Supermicroの液冷ソリューションが評価される理由の一つに、導入の利便性があります。「プラグアンドプレイ」設計を採用しており、迅速に稼働できるように設計されているため、短期間での導入が可能です。
また、ラックやサーバーレベルで高いGPU密度に対応しており、特にAIやビッグデータ解析など、高い演算能力を必要とする環境に適しています。Supermicroの液冷ソリューションは、従来の冷却方式に比べて冷却効率が高く、最大40%もの運用コスト削減が期待できるとされています。
さらに、エネルギー使用量を抑えることで環境負荷の軽減にもつながり、持続可能なデータセンター運用に貢献しているのも魅力的です。このように、冷却効率の高さと運用コストの低減が、Supermicroの液冷ソリューションが選ばれる大きな理由です。
Supermicroの水冷ラックシステムの主なコンポーネント
Supermicroの水冷ラックシステムは、液冷サーバー、冷却水分配ユニット(CDU)、コールドプレートとCDM(クーラント分配マニホールド)といった主要なコンポーネントで構成されており、各コンポーネントが連携して高効率な冷却を実現しています。以下では、これらの各コンポーネントについて詳しく解説します。
液冷サーバー
Supermicroの液冷サーバーは、高性能な処理能力と冷却効率を兼ね備えています。例えば、SYS-421GE-TNHR2-LCCといったサーバーモデルは、先進的な液冷技術を採用し、高い演算能力を維持しつつ冷却効率を最大化しています。
このような液冷サーバーは、GPU密度の高さも特徴で、48Uラックに64台ものNVIDIA H100またはH200 GPUを収めることが可能です。この高いGPU密度により、演算処理が多い環境でもラック内のスペースを効率的に活用できるため、データセンター全体の省スペース化にもつながります。
また、液冷によって温度が安定しやすく、サーバーのパフォーマンスや寿命も向上するため、データセンター運用において高い信頼性を提供します。
冷却水分配ユニット(CDU)
冷却水分配ユニット(CDU)は、Supermicroの液冷システムにおいて冷却水の供給と制御を担う重要なコンポーネントです。CDUは最大100kWの冷却能力を持ち、大規模データセンターでも十分な冷却を提供できるよう設計されています。
さらに、CDUには自動結露防止機能が搭載されており、内部温度が変動する状況でも結露が発生しにくくなっています。また、高効率なポンプシステムが組み込まれており、冷却水の流れを安定的に管理することで、サーバーの過熱を防ぐのも特徴です。これにより、サーバー運用の信頼性がさらに向上し、冷却効率も最適化されるため、データセンターの運用コストの削減にも貢献します。
コールドプレートとCDM(クーラント分配マニホールド)
コールドプレートとCDM(クーラント分配マニホールド)は、液冷システムの中でも特に重要な役割を果たしています。コールドプレートは、CPUやGPUなどの熱が発生しやすいコンポーネントに直接取り付けられ、効率的に熱を吸収し、冷却液へと伝達します。この方法により、従来の空冷方式では冷却が難しい高温環境でも、安定した冷却が可能となります。さらに、CDMは垂直・水平のいずれの配管にも対応しており、柔軟な冷却液の配管設計を可能にします。この柔軟性により、設置環境に応じた最適な冷却システムが構築できるため、データセンターの運用効率をさらに向上させます。
Supermicroの液冷ソリューションが提供する主なメリット
Supermicroの液冷ソリューションには、運用コスト削減や設置の容易さ、サポート体制の充実など、データセンター運用において多くのメリットが存在します。それぞれのメリットについて、以下で詳細に解説します。
運用コスト(OPEX)の削減
Supermicroの液冷ソリューションは、データセンターの冷却コストを大幅に削減することができます。液冷システムは従来の空冷方式よりも効率的に熱を排出するため、データセンター全体の冷却コストを最大55%も削減できる可能性があります。また、冷却にかかる電力消費も最適化され、エネルギー効率が高まることで、最大で89%の電力効率向上が見込まれます。このように、冷却コストの削減により、データセンター運用における経済的負担が軽減され、企業の収益性向上に貢献する点が評価されています。
設置・運用の容易さ
Supermicroの液冷ソリューションは、設置や運用においても多くの利便性が提供されています。工具が不要なホースキットによって、冷却システムの接続が簡単に行え、初心者でも短時間でセットアップを完了できます。さらに、プラグアンドプレイ対応であるため、迅速に稼働が可能で、導入後すぐに運用を開始できます。このような設置・運用の手軽さにより、データセンター管理者は導入に伴う労力を削減でき、迅速な環境構築が実現します。
メンテナンスとサポート体制
Supermicroは、液冷ソリューションに関するメンテナンスとサポートにも力を入れています。リモートアクセス機能により、冷却システムの状態を遠隔で確認でき、問題が発生した場合にも迅速に対応できるため、管理効率が向上します。さらに、Supermicroの「SuperCloud Composer」を用いることで、冷却システムの詳細な管理が可能となり、データセンターの安定運用を支援します。このような包括的なサポート体制により、メンテナンスの手間を削減し、信頼性の高いシステム運用が確立される点が、Supermicroの液冷ソリューションの強みといえるでしょう。
まとめ
Supermicroの水冷ソリューションは、データセンターの冷却効率と経済性を向上させるための最適な選択肢です。液冷サーバーやCDU、柔軟な配管が可能なCDMなどのコンポーネントが組み合わさることで、高密度なIT環境でも安定した冷却が実現します。また、運用コストの削減や迅速な設置、充実したサポート体制といった利点により、データセンター管理者にとって大きなメリットをもたらしています。
トゥモロー・ネットはSupremicroの一次代理店として、10年以上の実績がございます。水冷ラックシステムの導入サポートはもちろん、データセンター、AI開発環境の構築など目的や要望にあわせて最適なご提案をいたします。
Supermicro製品導入事例やサポート内容はこちら
トゥモロー・ネットでご支援できること
トゥモロー・ネットでは、NVIDIAのパートナー、Supermicroの一次代理店としてAI開発に最適なGPU製品の販売や導入サポートを実施しています。最新のGPU製品、水冷サーバーも取り扱っておりますので、GPUをお探しの際はぜひお問い合わせください。
NVIDIA GPUサーバー専門サイトはこちら
お問い合わせはこちら
関連ページ
Supermicroの水冷ワークステーションとは?製品概要を紹介
水冷技術とは?基本的な仕組みと今後の展望
NVIDIA GPUの水冷システムとは?搭載製品とメリットを紹介
この記事の筆者
株式会社トゥモロー・ネット
クラウドソリューション本部
製品のお問合せはこちらから
トゥモロー・ネットは「ITをもとに楽しい未来へつなごう」という経営理念のもと、感動や喜びのある、より良い社会へと導く企業を目指し、最先端のテクノロジーとサステナブルなインフラを提供しています。設立以来培ってきたハードウェア・ソフトウェア製造・販売、運用、保守などインフラに関わる豊富な実績と近年注力するAIサービスのコンサルティング、開発、運用、サポートにより、国内システムインテグレーション市場においてユニークなポジションを確立しています。
インフラからAIサービスまで包括的に提供することで、システム全体の柔軟性、ユーザビリティ、コストの最適化、パフォーマンス向上など、お客様の細かなニーズに沿った提案を行っています。
カテゴリー
タグ
- #ストレージ(ソフト)
- #VMware
- #Veeam Backup & Replication
- #AIインフラ
- #AMD EPYC
- #スケールアウトNAS
- #NVIDIA H200
- #NIC
- #LLM
- #AI
- #エンタープライズ
- #NVIDIA
- #NVMe
- #画像生成AI
- #コア
- #スケールアップ
- #NVIDIA A800
- #Ethernet
- #水冷サーバー
- #CPU
- #GPU
- #グリーンコンピューティング
- #SSD
- #NVIDIA H100
- #スレッド
- #スケールアウト
- #NVIDIA L40
- #Network
- #NVIDIA RTX 6000 Ada
- #Supermicro
- #GPUサーバー
- #グリーンIT
- #SAS SSD
- #ソフトウェア・デファインド・ストレージ
- #クロック周波数
- #Qumulo
- #SXM
- #InfiniBand
- #NVIDIA RTX A6000
- #Intel
- #マイグレーション
- #空冷
- #SATA SSD
- #Seagate
- #ECCメモリ
- #RedHat
- #PCle
- #NVIDIA MIG
- #量子コンピューター
- #AMD
- #レガシーアプリ
- #水冷
- #NVMe SSD
- #OSNEXUS
- #PCIレーン数
- #人工知能
- #SDS
- #DNN
- #QPU
- #サーバー
- #Windowsアップデート
- #Numecent
- #バックアップ
- #シーゲイト
- #L2 Cache
- #ChatGPT
- #水冷技術
- #NVIDIA Hopper アーキテクチャ
- #NVIDIA B200
- #朝日新聞
- #AVD
- #Azure Virtual Desktop
- #エンタープライズバックアップソリューション
- #EXOS AP
- #ストレージグリッド
- #コンテナ化
- #L4
- #NVLink
- #ProphetStor
- #ICXセンター
- #クラウドVDI
- #DX
- #Veritas NetBackup/BackupExec
- #EXOS CORVAULT
- #セキュリティ
- #OS
- #NVIDIA L4
- #NVSwitch
- #Windows10サポート終了
- #Windows10リプレース
- #アプリケーション
- #Acronis Backup
- #QuantaStor
- #SaaS
- #Docker
- #冷却機能
- #GPUアーキテクチャ
- #Windows Update
- #マイクロソフト
- #ランサムウェア
- #IBM Spectrum Protect
- #VMware
- #PaaS
- #Kubernetes
- #アプリケーション仮想化
- #vGPU
- #Cloudpaging
- #Intel筐体
- #サイバー攻撃
- #ArcServe
- #vSAN
- #仮想化
- #ITインフラ
- #アプリ仮想化
- #データセンター
- #ソフトウエア・ディファインド・ストレージ
- #AMD筐体
- #情報セキュリティ
- #NAS
- #HCI
- #IaaS
- #NVIDIA A100
- #Citrix
- #オンプレミス
- #ストレージ
- #VMware Explore
- #マルウェア
- #Network Attached Storage
- #Hyperconverged Infrastructure
- #パブリッククラウド
- #レガシーアプリケーション
- #ThinApp
- #エッジコンピューティング
- #ソフトウェア
- #NVIDIA AI Enterprise
- #ExaGrid
- #AI Enterprise
- #仮想化ストレージソリューション
- #ハイブリッドクラウド
- #NVIDIA L40S
- #App-V
- #ニューラルネットワーク
- #ストレージ(ハード)
- #VMware Tanzu
- #Veeam
- #NVAIE
- #Intel Xeon
- #マルチクラウド
- #NVIDIA A40
- #Microsoft Application Virtualization
- #ディープラーニング
アーカイブ
- 2024年12月 (3)
- 2024年11月 (10)
- 2024年10月 (15)
- 2024年9月 (10)
- 2024年8月 (10)
- 2024年7月 (10)
- 2024年6月 (11)
- 2024年5月 (10)
- 2024年4月 (10)
- 2024年3月 (8)
- 2024年2月 (9)
- 2024年1月 (8)
- 2023年12月 (11)
- 2023年11月 (8)
- 2023年10月 (14)
- 2023年9月 (9)
- 2023年8月 (8)
- 2023年7月 (11)
- 2023年6月 (3)
- 2023年5月 (1)
- 2023年4月 (6)
- 2023年3月 (1)
- 2023年2月 (6)
- 2023年1月 (1)
- 2022年12月 (4)
- 2022年11月 (4)
- 2022年10月 (4)
- 2022年9月 (3)
- 2022年8月 (4)
- 2022年6月 (5)
- 2022年5月 (3)
- 2022年4月 (1)
- 2022年3月 (4)
- 2022年1月 (1)
- 2021年11月 (3)
- 2021年10月 (2)